宮古島の水

宮古島は平坦な島で、全体的に山も川もなく、もっとも高い地域で宮古島東岸の横竹山山地が114.6メートル、 つぎに高い地域は島のほぼ中央にある野原岳が108メートルです。
したがって宮古の人々の生活用水は、戦後水道が普及するまで、天水と各所に散在するうりがー(洞井)に頼っていました。 うりがーは地の底へ石段をおりて汲む洞井(洞穴泉)のことで、地表を流れる川のない宮古島で人々はうりがーを中心に集落をつくり、 暮らしをたててきたそうです。

大和井入り口

うりがーは一般的に上がり下りの通路に石段を設けるていどで、多くは自然のまま利用していましたが、 平良市西仲宗根にある大和井(ヤマトガー)は全般にわたって人工がほどこされて、 その構造、規模ともに沖縄県内では類をみないといわれています。
伝承によれば在番役人や頭など、ごく・一部の役人が使用し、庶民には開放されなかったという。 門扉を用いたと思われる跡を止めているところからも、管理されていたことがうかがわれます。

ヤマトガー水汲み場

上の写真は大和井におりる入り口です。
右が水を汲める場所で見ての通り、
全体に入念な石工技術が施されています。
一部役人の専用井戸とされていたということは、
この一帯における名泉だったのでしょう。
私がここを訪ねた時はちょうど落ち葉を燃やした後で、その煙のせいで、写真の写りがちょっと悪いですが・・

ヤマトガーの石段

上へ戻る時の石段です。風情があって厳粛な気持ちになります。

ヤマトガーの出口

出口です。
下から上までさほど距離はありません。
石段も適度な勾配と大きさがあり、さほど労せずに上り下り出来たことが伺えます。

ウプカー

大和井の県道を越えて反対側には牛馬用、洗 濯、イモ洗いなどの雑用水として使用したウプカーがあります。 去年やっと発掘を終えて、その全貌が現れました。
これにより、ウプカーもまた高度な技術が施されていることが解りました。 おそらく、大和井の技術をここにも用いられたのでは・・と推測します。   

盛加井(ムイカガー)

ムイカガーは平良市の各所に散在する「うりが−」のなかではもっとも規模が大きく、 宮古の集落の多くが、このようなうりがーの近くに発生したといわれている。

ムイカガーへ降りる

直経約24メートルの地表の開口から、下へ降りる石段

ムイカガーの底

石灰岩層からしみ込んだ水はクチャという不透水性の泥岩層の上にあり、水汲口には外光がわずかに差しこんでいます。

ムイカガーの石段

石段は103段あるそうです。滑らないように歩くのがやっとです。昔の苦労がしのばれます。

ムイカガーから外へ出た風景

出口が見えました。
ここには小規模な貝塚層もあり、ムイカガー周辺一帯からは広範囲にわたって 青磁片、土器片等が採取されており、かなり古くから大きな集落を形成していたと見られています。

友利あま川、入り口

友利アマガー(友利あま井)は、
城辺町の砂川部落と友利部落の境界にある、
自然洞窟の湧き水で、2回の地殻変動で形成されたと推測されています。
この近くに友利元島遺跡があり、友利、砂川、新里元鳥の人々はこのあま井を水源に利用したと考えられています。

友利あま川の石段

細い通路に石段が施されていて、
滑らないようにそろそろと歩いていきます。

友利あま川の下

深さが約20メートルもあり下へ降りるほど暗くて歩けず、とうとう底の方まで行くことは止めて、引き返しました。
何も持たなくても降りるのは結構大変で、 当時、水を運ぶのは婦女子の日課といわれており、この急勾配の石段を水を担ぎながら上り下りするのは想像を絶します。

あまがーの下からみた風景

水量は豊かだが、昔の人はここから見える空を見て何を思ったでしょうか。 下で休憩しながら、しばし上を眺めました。

ムイガー

高さ約60メートルの断崖で有名なムイガー
そのムイガーの下には豊富な湧き水があります。 かっての古記録ではうりがーはすべて「川」と記し、それ以外はすべて「井」として区別されたといいます。 ムイガーはうりがー(洞穴泉)ではなく湧き水なのですが、 干ばつでも枯れることのない豊富な水量は、わざわざ遠くからでも汲みに来たといわれます。

ムイガーから海の風景

断崖から眺めた風景です。

ムイガーへの入り口

ここが入り口です。以前はよく釣り竿を担いでここから下へ降りたものです。

ムイガーの水

ずっと草むらを降りていき、海岸の岩をつたっていくと見えてきます。 豊富な水がわき出ていて、その水量の多さに圧倒されます。

せき止められた水

水は一旦せき止められています。いつごろ作られたかは分かりませんが工事は大変だったと思います。

すぐ側の風景

すぐ前に広がる海、今日は波が荒いです。
しばし海を眺めながら休憩です。
上に戻るのが一苦労です。
昔の人は偉い!

保良泉

保良泉(ボラガー)
上からここまで降りるのにはそれほど距離はありません。
保良部落から近く、住民のいこいの場所でもあったようです。

プール

湧き水を利用してプールができています。
古い写真が見つからないので、見比べることはできませんが、 現在の風景からは昔の面影はありません。

平良市から伊良部島を眺める

平良市の高台にあるカママミネ公園から伊良部島が見えます。

平良市内の風景

平良市街地の風景。

公園のシーサー

カママミネ公園内にあるでっかいシーサーの滑り台。ここで宮古島を守っているのでしょうか。

現在の集落

現在の集落です。

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